運動のメリットは、広く知られていることです。
しかし、運動のやり方を間違えると、逆に悪い結果をもたらすことがあります。
日本人の国民病ともいえるほど蔓延した糖尿病を予防するために、どのような運動をすればよいのでしょうか?
崩れたホルモンバランス
肥満や糖尿病では、ホルモンのバランスが悪い状況です。
運動するときには、ホルモンバランスを考えて、適切な運動方法を考えるのが有効です。
鍵となる3つのホルモンについて考えましょう。
インスリン:血中の糖を細胞に取り込み、脂肪として蓄積する働きがある。2型糖尿病患者では、インスリン分泌が増えている。
コルチゾール:ストレスに対処するためのホルモン。戦うために、血糖値を上げる働きがある。
成長ホルモン(HGH):筋肉を増やし、基礎代謝量を上げる。
インスリン抵抗性
運動をすると、筋肉がエネルギーを必要とします。
運動中の筋肉は、血液中の取り込みをどんどん取り込み、消費します。
そのため、少ないインスリン量で、血糖値をコントロールすることができます。
インスリン抵抗性が、若干軽減するということです。
ただし、インスリン抵抗性の根本的原因は肝臓。
運動をするだけでは、インスリン抵抗性の根本的な解決にはなりません。
運動強度の選択
カロリーを消費することばかりに、気を取られることはあまり意味がありません。
肥満やメタボリックシンドロームは、単なるカロリーの問題ではないからです。
とくに、ホルモンの働きを知っておくことで、より有効な運動方法を選ぶことができます。
有酸素運動と無酸素運動の特徴
有酸素運動は酸素を使用し時間をかけて行う継続的な運動、無酸素運動は酸素を使用せず短時間で行う強度の高い運動のことです。
有酸素運動で、よく例にあげられるのは、水泳、ジョギング・ウォーキング、サイクリングなどです。
無酸素運動としてあげられるのは、短距離走や筋力トレーニング、ウエイトリフティングなどです。
しかし、やり方によって、個人の体力によって、必ずしも上記の分類にはならないのですね。
たとえば、ウォーキングと一括りに言っても、友人とおしゃべりをしながらのんびり散歩するのと、仕事に遅刻しそうで、息をぜいぜい、はぁはぁ言わせながら、大汗をかいて必死で最速で歩くのは、まるで別物といえるでしょう。
ジョギング中に楽々会話が続けられる人もいますが、会話を続ける余裕のない人のほうが多いでしょう。
有酸素運動と無酸素運動の見分け方
そこで、簡単な見分け方です。
有酸素運動 Aerobic:運動強度が弱く、心拍数は120回/分以下、呼吸が快適で、フルセンテンスで会話が楽にでき、長時間続けられるレベルの運動。2時間でも、3時間でもできる。なぜなら、酸素供給が十分追い付いていて、酸素を使ったエネルギー供給が継続できる状態だから。脂肪を燃焼して使っている。ストレスホルモンの分泌は増えない。成長ホルモンは少しだけ増やせる。
無酸素運動 Anaerobic:運動強度が高く、心拍数が増え、ぜいぜい、はあはあ、呼吸が苦しくなる。30分程度しか続けられない。酸素供給が追いつかない状態。酸素が不足していて、脂肪は燃やせないため、糖を使う。ストレス強度が高いため、ストレスホルモン(コルチゾール)が分泌される。成長ホルモンは増加する。
運動強度が強すぎると逆効果
内臓脂肪が多い中年太り(ビア樽)体型の人は、すでにコルチゾールのレベルが高いことが多いです。
このような人が、強い運動(無酸素運動)を頑張りすぎると、体にかかるストレスが増えてしまいます。ストレス反応で、さらにコルチゾールの分泌が増え、血糖値が上がり、その反応でインスリン分泌が増加してしまうのです。その結果、さらに内臓脂肪を溜め込んでしまう可能性があるのです。
また、ストレスホルモンは、食欲を増進させます。危機的状況で戦うために、エネルギーを取り込もうとするのですね。その結果、空腹感を強く感じてしまい、余計に食べてしまうわけです。
良かれと思って頑張った結果、逆に太ったり、生活習慣病が悪化する可能性があるのですね。メタボの人が、健康のために行うべきなのは、キツイ運動を必死でやることではないのです。
HIIT(high intensity interval training)
HIITとは、「High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)」の略で、負荷の高い運動と小休憩を繰り返すトレーニング法のことです。
ストレスホルモンは、上昇するが、ごく短時間のため、少ない。無酸素運動を続けるよりずっと少ない。
この方法の素晴らしいところは、ストレスホルモンを最小限に保ったまま、成長ホルモンの増加が期待できることです。成長ホルモンが増加すれば、基礎代謝量があがり、運動をしていないときでもより多くのエネルギーを消費することができます。
糖尿病予防に有効な運動方法
有酸素運動と組み合わせるやり方の例:有酸素運動のウォーキングをゆったり行いながら、階段や上り坂を見つけたら、全力で数十秒〜長くても3分間、駆け上がる。その後ゆったりウォーキングに戻す。心拍数を上げるのは、短時間にとどめるのが鍵。
食事療法とも組み合わせを
運動だけで、メタボリックシンドロームは改善できません。
必ず食事改善も忘れずに、睡眠やストレス管理などの生活全体を見直し、とりくみましょう。
ガイドライン
生活習慣病を予防するために効果的な有酸素運動は、「中等度の有酸素運動を少なくとも週5日、または高強度の有酸素運動を少なくとも週3日、あるいは中等度と高強度の有酸素運動を組み合わせた週3~5日の運動が推奨される」をされています。
しかし、「高強度」は無酸素運動になりがちなので、体力に応じて、自分にとって適切な運動を選びましょう。

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